DEFINITIVE JUX PRESENTS II | DEF JUX PRESENTS...




DEFINITIVE JUX PRESENTS II

Label: DEFINITIVE JUX (2002)

Production: El-P, Przm, Aesop Rock, Mondee, Insight, RJD2, Cryptic


1. Same As It Never Was - Weathermen
2. Dead Pan - Aesop Rock
3. Sneak Preview - Mr. Lif, Murs
4. Hold The Floor - Camu Tao
5. FU For Failure Ugly - Rob Sonic
6. I Like Your Def Jux Baby Tee - RJD2
7. Paper Mache - Masai Bey
8. Fulcrum (insight mix) - Mr. Lif w/Opio
9. Dr. Hell No & The Praying Mantis - El P w/Vast
10. Mic Molest - Atoms Family
11. Freak Show - Yak Balz
12. Stepfather Factory - El P

EL Pが興したレーベルDEF JUXの最初のコンピレーションが、COMPANY FLOW名義最後のリリースとなったのは皮肉だが、その後の彼らの快進撃は知っての通り。CANNIBAL OX"COLD VEIN"、AESOP ROCK"LABOR DAYS"という2枚のクラシック・アルバムを放った2001年は、彼らにとってもファンにとっても思い出深い年となった。レーベル名に絡んでDEF JAMと揉めた結果、正式名称をDEFINITIVE JUXに改めてのリリースとなった。

一曲目を飾るのは、WEATHERMENによる"SAME AS IT NEVER WAS"。EL P、MHZ、CANNIBAL OX、BREEZLY BREWIN、YAK BALLZ、MASAI BEY、CAGEらが所属するスーパーグループだが、ココではMASAI BEY、CAMU TAO、COPYWRITE、VAST、EL Pが参加。そのEL Pによる未来的宇宙ビート上でのマイクリレー、圧巻だ。最初のハイライトは、DEF JUXヴェテランMR LIFと、西海岸はLIVING LEGENDSからDEF JUXに参戦したMURSが、正に夢の共演を果たした"SNEAK PREVIEW"。EL Pの跳ねたビートも良いが、主役は断然MURSとMR LIF。甲乙付け難い最高のパフォーマンスで圧倒する。2番目のハイライトはMASAI BEYの"PAPER MACHE"。重たいフロウは、彼がBMS的な存在になっていくであろう事を予感させるし、EL Pのビートも病んでいる。最後のハイライトはやはり、御代EL Pの新曲"STEPFATHER FACTORY"だ。最早スポークン・ワードと言って良い抑えた語り口のSFライムが炸裂した新たな傑作だ。

その他にも、聴き所は満載だ。MHZのCAMU TAOの"HOLD THE FLOOR"は、奇妙なビートにCAMU独特のフリーキーなフロウが最高のドープ・チューン。MHZのCOPYWRITEをフィーチャーしたソロ名義シングル"JUNE"以来、成長著しいRJD2のインスト"I LIKE YOUR DEF JUX BABY TEE"は、最早珍しくも何ともなくなったインストゥルメンタル・ヒップホップに新たな魅力を加えている。SONIC SUMのフロント・マンROB SONICの自作自演曲"FU FOR FAILUR UGLY"もイルだし、"MIC MOLEST"でのATOMS FAMILYによるマイクリレーも凄まじい。甲高い声で病んだラインをキックするYAK BALLZの"FREAK SHOW"も、良い。MONDEEのタフなドラムも最高だ。

とはいえ、完璧ではない。セルフ・プロデュースのAESOP ROCK"DEAD PAN"は少し弱いし、MR LIFとOPIOの"FULCRUM"はドープだがココには場違いだ。EL PとVASTの"DR. HELL NO & THE PRAYING MANTIS"もビートが期待はずれに終わってしまっている。

とにかく、全く迷いが無い辺りが頼もしい。EL P以外にもRJD2やMONDEEなどの優れたトラックメイカーがいるし、AESOP ROCKにCAN OX、MHZ、MURS、MR LIFなど一流のMCも揃っている。このコンピレーションは、今年もDEF JUXの年になる事を高らかに宣言している。既にリリースされたAESOP ROCKの"DAYLIGHT EP"やこのコンピ第二弾を始め、MR LIFやMURS、EL P等のアルバムが控えている訳だから、暫くは彼らがシーンの中心となる事は明白だ。




DEF JUX PRESENTS...

Label: DEF JUX (2000)

Production: El-P, Rjd2, Aesop Rock


1. DPA (As Seen On TV) - Company Flow
2. Simmian D aka Feeling Ignorant - Company Flow w/Ill Bill
3. Iron Galaxy - Cannibal Ox
4. Silver Fox - RJD2
5. Straight Off The D.I.C. - Cannibal Ox
6. Kill Em All - Aesop Rock
7. Simple - Company Flow

全く新しいサウンドとライム・スタイルで、90年代後半のヒップホップ・シーンに計り知れない影響を与えたCOMANY FLOWの解散は、多くのファンに大きな衝撃とシーンの行く末に対する不安をもたらした。結果的に、このEPに収録された3曲が最後の作品となったが、彼らの勢いは衰えるどころか増すばかりだ。

まずはCOMPANY FLOWだが、冒頭の"DPA"が最高だ。仰々しい始まりからノイジーでラフなファースト・ヴァース、深いループ、渦を巻くハイハット。EL Pのラピッド・フロウも絶好調。MR LENのスクラッチも良い。因みに、"DPA"とは"DRUM PATTERN AWARENESS"の事。"SIMMIAN D"には、NON PHIXIONのフロントMC、ILL BILLが加わり、タフでファンキーなビート上での掛け合いが素晴らしい。「マイクロソフトがなかったら/カマ野郎達にファンはいないぜ」。BIZの定番声ネタは、そのままファンキーだ。ラスト"SIMPLE"は、新世紀に向けての声明だ。クラシック・ロック調のリフに重たいベースライン。

ATOMS FAMILYのVASTとVORDULによるデュオ、CANNIBAL OXのDEF JUX第一弾"IRON GALAXY"は、クラシック以外の何物でもない。EL Pの新型ビートも素晴らしすぎるが、VASTとVORDULの2人もドープ過ぎるリリシスト振りを遺憾なく発揮している。"STRAIGHT OFF THE D.I.C."は、よりスペイシーに。COMPANY FLOWとの決定的な違いも興味深い。

MHZのDJ、RJD2によるインスト・トラック"SILVER FOX"は、良い意味で誤算だった。ベルの音色、ソウルフルな声ネタ、挿入されるアジア的なサンプル、イレギュラーなドラム・パターン。DEF JUXといえばEL Pのビート、と思っていた向きには、RJD2の存在が嬉しい驚きをもって迎えられるだろう。MUSHからのリリース"FLOAT"で一躍新たなアンダーグラウンド・ヒーローとなったAESOP ROCKのDEF JUX第一弾"KILL EM ALL"は、軽い肩慣らしといった感じ。セルフ・プロデュースのベース中心のトラックは少し地味だが、粘っこいフロウに優れたリリックで飽きさせない。「奴隷はクソ野郎のために働き、クソ野朗は王のために働き/王は商売女、コカインのために働く....」

ドープ・トラック + ドープ・ライム = ヒップホップ・クラシック。公式はいたってシンプルだ。彼らは、ニューヨーク・シーンの最先端、つまり世界の最先端。COMPANY FLOWの最後の音源となった事は悲しいが、このEPを聴く限り余計な心配は無用だ。彼らは進化し続ける。だからヒップホップは面白い。