LP/EP PERSONAL JOURNALS : SICK OF WAITING TABLES... : STILL SICK... URINE TROUBLE



PERSONAL JOURNALS

Label: ANTICON (2002)

Artist: SAGE FRANCIS

Production: Sixtoo, DJ Mayonnaise, Jel, Alias, Odd Nosdam, Controller 7, Mr. Dibbs, AOI, Joe Beats, Reanimator


1. Crack Pipes
2. Different
3. Personal Journalist
4. Inherited Scars
5. Climb Trees
6. Broken Wings
7. The Strange Famous Mullet Remover
8. Smoke And Mirrors
9. Message Sent
10. Eviction Notice
11. Pitchers Of Silence
12. Specialist
13. Hopeless
14. Kill Ya Momz
15. Black Sweatshirt
16. Cup Of Tea
17. My Name Is Strange
18. Runaways
SAGE FRANCIS、正に待望のオフィシャル・デビューアルバムが遂にリリースされた。マトモなアルバムもなしに、ココまで注目されたラッパーも珍しいだろう。これまでに、彼のバンドART OFFICIAL INTELLIGENCEやJOE BEATSとのNON-PROPHETSでのリリースはあったが、ロード・アイランドから現れたこの屈折したリリシストの名を世界的なモノにするのに最も貢献したのは、スクリブル・ジャムでのMCバトル・チャンプという冠である事は疑う余地がないが、ANTICONの強力なバック・アップを受けたこの"PERSONAL JOURNALS"で彼は、フリースタイル/バトルMCとしてだけではなく、リリシストとして最大限のリスペクトを受けるだろう。

彼のリリックは時に複雑で個人的。"DIFFERENT"の「俺は他と違う、違った意味で/変わらないのは変化だけ」という一節や、引き出しにしまわれた手紙の物語"MESSAGE SENT"、"CUP OF TEA"での存在しない話し相手、直接的な"RUNAWAYS"などで垣間見える彼の孤独感は、妹との別れを後悔する"INHERITED SCARS"、幼い頃の母親との関係をライムする"BLACK SWEATSHIRT"などで綴られる子供の頃の体験が原因なのだろうか。それとも、"PITCHERS OF SILENCE"、"SPECIALIST"で赤裸々に語られる女性関係に端を発する自己嫌悪か。ともかく、一見感情的なSAGEは実の所、非常に客観的だ。歪んだユーモアは、"EVICTION NOTICE"、"KILL YA MOMZ"に集約される。

プロダクション面では、ANTICONのコンピレーション"GIGA SINGLES"にも収録されていた、DJ MAYONNAISE手掛ける"INHERITED SCARS"がやはり突出している。最も多い曲数を手掛けたSIXTOOや期待のJELとのコラボレーションは思ったより地味だが、SCOTT MATELICによる澄み切った冬の空といった趣の"BROKEN WINGS"や、哀愁漂うALIASとの"MESSAGE SENT"、相棒JOE BEATSがなんとも美しいメロディを聴かせる"RUNAWAYS"など、メロディアスな曲に良いモノが多い。

お馴染みのスポークンワードやライヴ音源だが、このアルバムでは逆効果。"SICK OF WAITING"シリーズでは楽しめたこういった曲は、ココではアルバムの統一感を損なうだけの存在になってしまった。が、それでもこのアルバムは期待に充分応えうるクオリティを誇っている。去年から最も期待されていたアルバムの一つであろう"PERSONAL JOURNALS"、待った甲斐はあった。




SICK OF WAITING TABLES...

Label: STRANGE FAMOUS (2001)

Artist: SAGE FRANCIS

Production: Joe Beats, Dj Merk, Sixtoo, Alias, Molemen, Arecee, Sentance, Stoneface, Emynd


1 a. Iceland Radio Intro
1 b. Vital Sighs
2. Drop Bass w/Vocab
3. Who's Crying?
4. Rewrite
5. Days Grow Old w/Slug
6. Narcissist
7. The Emperor's New Clothing
8. Orphanage Freestyle Pt1 w/Slug, Eyedea, Aesop Rock,Illogic, Blueprint
9. Intuition w/Jaysonic
10 a. When Freedom Rings
10 b. Whip IT (aoi's live devo cover)
11. Come Follow Me
12. Gun Gods
13 a. Clokworx,Sage On 88.9 Wbru
13 b. Vocab, Phes, Sage On 90.3WRIU
14. Best Of The Underground Kid
15. I Apologize w/Sole
16. Trite
17. Oliver Twisted
18. Testimony w/Sole, Sixtoo
19. I Keep Calling
20. Respect the Broccoli Cock
21 a. We're Not Gonna Take It (short aoi live)
21 b. Swedish Fish
22. Orphanage Freestyle Pt2 w/Slug, Eyedea, Aesop Rock,Illogic, Blueprint
23. Bounce (live)
24. Mc Shutup
ローズ・アイランドのSAGE FRANCIS。いい加減ソロ・アルバムを出して欲しいところだが、それはさて置き、本作は基本的に"STILL SICK"と同じ構成。つまり新曲、既発曲、フリースタイルだ。

期待の新曲だが、ALIASのプロデュースによる"TRITE"がベストだろう。とにかくドープなトラックにSAGEのアグレッシヴな フロウが映える。SOLEとの"I APOLOGIZE"も、勢いのあるトラックがドープ。"DAYS GROW OLD"はSLUGとの初共演だが、結果はイマイチだ。次のMOLEMENのアルバムに入るという"THE EMPEROR'S NEW CLOTHING"と"COME FOLLOW ME"の2曲はどちらもワン・ヴァースのみ(曲自体まだ未完成らしい)で、タイトだがやはり欲求不満な感じかな。完成を待ちたい。

既発曲では、NON PROPHETSの12インチから"DROP BASS"とダークな"I KEEP CALLING"、A.O.I.からは、かつての彼女への文句を連ねた"REWRITE"、とにかくドープなライブ音源"BOUNCE"、JAYSONICのアルバムからの"INTUITION"、"WHEN FREEDOM RINGS"と"TESTIMONY"はSIXTOOの、アルバムと12インチにそれぞれ収録されていた曲だが、いつ聴いてもドープだ。

今回もやはり、フリースタイルがハイライトになっている。2パートに分けられた"ORPHANAGE FREESTYLE" は、AESOP ROCK、EYEDEA、SLUG、ILLOGIC、BLUEPRINTにSAGEというオールスター・キャスト。全員がリラックスした雰囲気の中、余裕のフリースタイルを聴かせてくれる。オリジナルのテープに収録されていたUNDERGROUND KIDとのバトルの抜粋はとにかく笑える。名勝負だからではなく、あまりにワックなUNDERGROUND KIDが面白すぎる。哀れである。

聴き応えのある内容ではあるものの前作ほどの充実度は、ココにはない。散漫さと生々しさは紙一重、という事か。ANTICONからのオフィシャル・アルバムが本当に待ち遠しい。それまでは、これを聴いて我慢するしかないか。




STILL SICK... URINE TROUBLE

Label: STRANGE FAMOUS (2000)

Artist: SAGE FRANCIS

Production: Joe Beats, Dj Mf Shalem


1 a .The Time Of My Life
1 b. Majority Rule
1 c. Slug & Sage Freestyle pt1
2 a. Eye Of The Tiger
2 b. Strange Famous
2 c. All Word, No Play
2 d. Sage w/Dj Roux
3 a. Whore Monger's Sing Along
3 b. Sage & Sixtoo
3 c. Mullet
4 a. Come Come Now
5 a. Her Shalq
5 b. Apathy & Sage Freestyle
6 a. Kfc
7 a. Slug & Sage Freestyle pt2
7 b. Edan w/Aoi
7 c. Strange Famous Spoken Word
7 d. The Short Necked Giraffe
8 a. Andy Kaughman
東海岸はロード・アイランド出身、SAGE FRANCIS。2000年のスクリブル・ジャム、MCバトルのチャンプとして名高い 彼は、プロデューサーのJOE BEATSとのグループNON PROPHETSに、生バンドを従えたA.O.I.という2つのユニットの 顔でもある。この自主CDは、NON PROPHETS名義で出した2枚の12インチや、フリースタイル等を収録した物 で、アルバムではない。CD-Rであるため当然のごとく音質は悪いが、どれも必聴の代物ばかりである。(因みに、インナースリーヴには本人の物と思しきサインとイラストが...)

シンプルなトラックでSAGEが跳ねる"THE TIME OF MY LIFE"、哀愁漂うビートに"MAJORITY RULE"は、トラック、ライム共にクソドープで、これがベスト・トラックだ。ファンキーなギターにラウドなドラムがドープな"EYE OF THE TIGER"、ヒップホップの基本に忠実なところを聴かせる、ジャジーな"ALL WORD, NO PLAY"、やたらキャッチーな"WHORE MONGER'S SING ALONG"、ダークなトラックがドープな"COME COME NOW"(「現在と愛し合え/過去はファックしろ」)、タイトルが全てを物語る"ANDY KAUGHMAN"等など、どれもドープだ。それにしても、"KFC"は面白すぎる。このガキ、マジらしい。

フリースタイルモノでは、8分に及ぶAPATHYとのフリースタイルが最高。完全即興とは思えない程の自然な掛け合い、歪んだユーモア、全てが素晴らしい。とにかくドープ!SLUGとのフリースタイルも素晴らしく、貫禄だ。ポエトリー・リーディングの大会、SLAMでの模様を収録した"MULLET"は、SAGEのヒップホップ観をその出会いから、ユーモアたっぷりに語っていて、我々のようなヒップホップを”選んだ”人間にとって、非常に感慨深い内容だ。「ヒップホップは白人に操られたブラック・アート/丁度、ロックンロールと同じ様に.....」、まるでフリースタイルのようなその語り口も素晴らしい。

手元にある曲を無造作に放り込んだ様なモノだが、その生々しさがこの作品の最大の魅力になっている。とにかく、SAGE FRANCISのラップが素晴らしい。柔軟なデリヴァリーにタイトなライム、高度なフリースタイル・スキル、自虐的で捻くれたユーモア。あらゆるヒップホップ・ジャンキーにとって、必聴だ。