LP/EP THE PHYCHE CONTINUUM : SONGS I HATE



SONGS I HATE

Label: ANTICON (2001)

Artist: SIXTOO

Production: Sixtoo


1. One World Lost
2. Grimey Inks The Moment
3. Work In Progress
4. When Freedom Rings w/Sage Francis, Sole
5. All New Mad Max Song w/Recyclone
6. Twilight
7. L.F.T.F.C.G.B. w/Josh Martinez, Kunga 219, Sole, JD Walker, Knowself, Pippy Skid
8. Drip Drop
9. The Canada Project w/Adeem, Sage Francis, Buck 65
カナダの重鎮、SIXTOO。とにかく長い彼のキャリアだが、未だに未開の地へと向おうとする飽くなき向上心はどこから 来るのだろう?このアルバムでも又、今までの作品とは一味違ったSIXTOOが聴ける。

アルバム冒頭の2曲に共通するのは、やはりその素晴らしいドラム・プログラミングだろう。変則的な"ONE WORLD LOST"、跳ねまくる"GRIMEY INKS THE MOMENT"。対極的ではあるが、ループとの相性も含めて、ただドープ。ラップも当然素晴らしい。SOLEとSAGE FRANCISが参加した"WHEN FREEDOM RINGS"においても、彼の卓越したドラム・プログラミングが堪能できる。全くタイプの違う3MCにガッチリとはまった最高のトラック。SIXTOOお得意の近未来的なテクノロジー黙示録も、RECYCLONEとの"ALL NEW MAD MAX SONG"で聴ける。沈みまくった小品"TWILIGHT"と"DRIP DROP"に挟まれたポッセ・カット"L.F.T.F.C.G.B."は、トラックが少し単調だが、メンツのお陰で退屈さは無い。彼の真骨頂は、幾つものパートに分かれたやたら長い曲で発揮される。"WORK IN PROGRESS"では、人生における様々な感情に併せてトラックがダークだったり、明るかったり、アグレッシヴだったりと変化してゆく。個人的にはラストの太陽が昇ってきたようなループがツボ。ドープ。

しかし何と言っても圧巻なのは、35分に及ぶ"THE CANADA PROJECT"だ。ADEEM、SAGE、BUCK 65、そしてSIXTOOの4人がその都度変化するトラックに乗せ、前のラッパーの最後の1節からつなげて違ったトピックへと移行していくというモノで、とにかくこれが凄まじい。SAGEの喫茶店でのナンパ話から、BUCK65の相変わらず"ポルノ映画業界のインサイダーと呼んでくれ"なんて言ってるライムまで、全員が最高のパフォーマンスを披露している。これほどの複雑な曲を指揮/構成したSIXTOOのプロデューサーとしての手腕は相当な物だと思う。この先、おそらく数年は出て来ないであろう超大作。騙されたと思って聴いてみて欲しい。

このアルバムでSIXTOOは、トラック/ラップ両方で最高レベルの仕事を聴かせてくれる。ラッパーとしての彼はゲストに食われる事も多い(勿論タイトだけど)が、プロデューサーとしてはとにかく最高のビーツを叩き出している。これまでの作品に比べ幅も広がったし、全てのリスナーにとって必聴のアルバムだ。



THE PHYCHE CONTINUUM

Label: METAFORESICS (1998)

Artist: SIXTOO

Production: Sixtoo


1. Propaganda
2. Detriments Lament
3. Caukazoid Germ
4. William Cooper
5. Courtyard Courtship
6. Weird Timer
7. Mode Shift
8. Dysfunctional Family Song
9. Nice Beat
10. Support w/L'roneous
11. Timeless Visor
12. Anger
13. Gammatech
14. Lacking Precipitation
15. Alligator
16. Sultry
これは、SEBUTONESの相棒BUCK 65にも思う事だが、SIXTOOの底なしともいえる創造性には、とにかく脱帽だ。 ラップは勿論トラックも、ほぼ全て自らが手掛けているにも拘らず、その長いキャリアの中で常に高い品質を保ちつつ、 コンスタントにアルバムを発表している訳だから、凄まじい創造力である。

細菌によって人類が絶滅してゆく様を描いた"CAUKAZOID GERM"は、ダークながら美しいピアノ・ループも手伝ってか、極めて終末的な雰囲気を醸し出していてドープだ。結局、最後にはSIXTOO一人になってしまうという救いようのないラストだが、不思議と後味は悪くない。唯一のゲストL'RONEOUSが参加した"SUPPORT"は、ドープなベースラインに、SIXTOOとL'RONEOUSの相性も抜群で、ベストカットだろう。"SIMULATED SNOW"という曲名でANTICONのコンピに収録されていた"LACKING PRECIPITATION"は、このアルバムで聴くとだいぶキャッチーに聞こえるから面白い。ここでは、自然破壊の危険性に対しての警告的なライムが主役だ。変則的なドラム、ドープなピアノ・ループと、プロダクションも勿論タイト。ラストを飾る"SULTRY"は、ラップというよりスポークンワードだ。生演奏のチェロが奏でるメロディに聞き入ってしまう美しい曲だ。アルバム中にちりばめられた短いインタールードの数々も、ちゃんとした曲にして欲しいほど素晴らしい物が多く、特に"ALLIGATOR"は突出した出来だ。

全編に渡ってとにかく暗いトラックが続き、SIXTOOの冷たいラップもそれに拍車をかけているため、万人にお勧めできるアルバムではないが、それでも、美しいプロダクション、コンセプチュアルなリリック等、クリエイティヴィティに溢れたアルバムだ。