PROVIDENCE PLAYS NO FAVORITES

Label: GALAPAGOS4 (2001)

Artist: HIMSELF

Production: Anacron, Dj PNS, Dj Whitelightning, Dj Justin Tewn, Dj Alo


1. Everybody Dance
2. Hard To Smile
3. On A Good Day
4. Pepper Mills
5. Not Moved By It All
6. Last Miles
7. Andre
8. Intermission
9. Howard To 95th
10. Flash Gordon
11. What About You
12. October
13. How Do You Like It?
14. Lessons Learned 1
15. Frustrated
MURS、ANACRONと組んだユニット、NETHERWORLDのアルバムも記憶に新しいHIMSELFのソロが、お馴染みGALAPAGOSから届いた。予想通り、充実した内容だ。

最高のパーティーチューン"EVERYBODY DANCE"で幕を開けるアルバムは、ドープなビーツにポジティヴなライムが詰まっている。日々のタフな生活の中でも笑顔を忘れるな、と歌う"HARD TO SMILE"、冷酷なL.A.のストリートを描写する"ON A GOOD DAY"、"NOT MOVED BY IT ALL"(「どんな車に乗ってたって渋滞にはハマるんだぜ」)では、彼が金に興味が無い理由を挙げて物質主義を批判、"OCTOBER"では人生は短いんだから後悔の無い様強く生きろ、と諭す。ストーリーテラーとしても一流で、ヤクにハマっていく女性の物語を通してゲットーのライフ・スタイルをライムした"PEPPER MILLS"、所謂プレイヤーの物語"FLASH GORDON"は、ヤクに売春婦など典型的な”ブラック・ムービー”っぽい感じ。個人的な題材も歌っていて、シカゴの地下鉄にまつわる話"HOWARD TO 95TH"、「長い間泣いてなかったけど/昨夜泣いてしまった」と感情的に歌う"LAST MILES"、"ANDRE"はタイトルにもなっている、流れ弾にあたって死んでしまった彼の親友への感謝。"FRUSTRATED"では、自分の周りのストレス、友人などあらゆる事をライムする。どれも、彼の感情が手にとるように伝わってくるエモーショナルな名曲だ。ワックMCに怒りを露にする"WHAT ABOUT YOU"や、女ネタ"HOW DO YOU LIKE IT?"なども余裕でこなす。

多くのトラックを手掛けるANACRONのビーツも、ハウスにも通づる透明感溢れる音作りで独特の空気を醸し出す。冷たくも暖かい都会の雰囲気を表現したドープ・ビーツ。他にも、MOLEMENのPNSは"EVERYBODY DANCE"でドープなループを、WHITELIGHTNINGは"HOWARD TO 95TH"で最高のドラムを提供、アルバムに色を添えている。

オリジナルなビーツに、巧みなストーリーテリング、ポジティヴなメッセージが詰まった良質なヒップホップ・アルバムだ。極めてオーソドックスだが、質の高い芸術作品がココに又一つ。