LP/EP KOOLMOTOR : SECRET AGENT NUMBER 005



KOOLMOTOR

Label: COUNTERFLOW (2001)

Artist: FIVE DEEZ

Production: Fat Jon, Sonic


1. Say Intro
2. Latitude
3. Omni
4. Got Dough
5. Decapitated Orgasms
6. Instruments Of The Trade (the word)
7. Sexual For Elizabeth w/Shingo02
8. Possibly
9. B.E.A.T.
10. Ten
11. Sugar
12. Even
13. Plasma Avenue
14. Afghanistan Dan's Skating Stand
MCのPASEとKYLE DAVID、音を担当するSONICとFAT JON。最近、急激にプロップスを集めるFIVE DEEZ、待望のデビュー・アルバムだ。EPでも聴けたFAT JONの優れた構成力、サンプルに生楽器を織り交ぜた強烈にヒップホップを感じさせるトラック。このフル・レングスではそれらが数段パワーアップしている。

イントロに続く"LATITUDE"がまず、このアルバムが傑作である事を確信させる出来。涼しげなアコースティックギター・ループが心地よく、グッと広がるサビで完成される。SONICが唯一手掛けた"OMNI"での鳥のさえずりが聞こえる静けさは、パーソナルな語り口と相まって何とも言えない心地よさ。冒頭から引き込まれる"DECAPITATED ORGASMS"は、クリスピーなドラム、サビのホーンと女性ヴォーカル、ピアノとストリングス・ループが清涼感たっぷり。ただ美しい。他にも、ド渋な"INSTRUMENTS OF THE TRADE"、唯一のゲストMC、SHINGO2が日本語でアピールする"SEXUAL FOR ELIZABETH"、スピーディーな"TEN"、イルなドラムに心地よいギターが絡む"PLASMA AVENUE"等、とにかくドープだ。

一曲を除く全てのトラックをプロデュースしたFAT JON。ソロ・アルバム"WAVE EMOTION"を引き合いに出す必要も無く、生楽器を多用した音楽性は極めてインスト向きであると言えよう。その魅力が最も分かりやすい形で提示されているのが、ラストの長編"AFGHANISTAN DAN'S SKATING STAND"だろう。嵐の前の静けさと言った趣の始まりから、変化してゆくビート、疾走するハイハット、漂うフルートの音色。正にフューチャー・ソウルジャズ。"POSSIBLY"では、単なる”4つ打ちの導入”に留まらない視野の広いビートを聴かせてくれる。ハウスがどうとかではなく、飽くなきリズムへの探究心が垣間見れる一曲。重厚な始まりから透明感を増してゆく"SUGAR"、生サックスと生ギターをメインに据えた真っ当な"EVEN"、どれも素晴らしい。

PASEとKYLE(そしてFAT JONも)のラップは、スムースなプロダクションに完璧にマッチしていてタイトだが、このアルバムの真の主役はやはり、FAT JONのプロダクションだろう。J.RAWLSとのユニット3582、別人格MAURICE GALACTICA、そしてFAT JON名義でのソロ・アルバムと、2001年に4枚ものアルバムを出しながら、陰りを見せるどころか素晴らしさを増してゆくプロダクション・スキル。僅か1年で、彼の名は”最重要プロデューサー”としてシーンに定着した感がある。ジャジーながら多様性を強烈に感じさせる彼の透明感溢れるプロダクションは、改めて音楽の素晴らしさを教えてくれる。今という時代性と同時に普遍的な魅力に溢れたアルバムだ。必聴。




SECRET AGENT NUMBER 005

Label: DIMENSIA (2000)

Artist: FIVE DEEZ

Production: Fat Jon, Pase, J. Rawls


1. Generic B-Boy No. 5002
2. Dope
3. Blue Light Special w/J. Sands
4. Wow
5. B.E.A.T.
6. The Rock Rule w/Mr. Dibbs
7. The Rock Rehab
MHZやWEIGHTLESSクルー等で有名なオハイオ州シンシナティから、新たに同地を代表する事になるであろうグループ が登場した。MOOD、TALIB KWELI、HI TEK、LONE CATLYSTらが所属するWANNA BATTLE CREWの一角 を成す、PASE、KYLE DAVID、SONICとFAT JONの4人組、FIVE DEEZだ。

MCのPASEがトラックを手掛けるイントロ"GENERIC B-BOY NO. 5002"は、電子音やスクラッチが飛びまくる深遠な音世界から、ドラムが全てをヒップホップに変える。続く"DOPE"は緊張感と暖かさが同居した、極上のループで軽い肩慣らし。同郷のLONE CATLYSTからJ. SANDSが参加した"BLUE LIGHT SPECIAL"は、一転してスムース。途中途中の素晴らしい展開にFAT JONの非凡さを聴いて取れる。スクラッチ、フルート、全て最高。"WOW"では、そのJ. SANDSの相棒J. RAWLSが、素晴らしいプロダクションを提供している。ベスト・トラックは、"B.E.A.T."だろう。粛々としたストリングスからタイトなブレイクがインサートされ、スムースなキーボード・ループ、中盤のファンキーな展開、後半にはガラッと変わってヒューマンビートボックスにブッといウッドベース、幻想的な上モノ、パーカッション、全てが最高にドープで、全体の構成も素晴らしい。"THE ROCK RULE"は、タイトル通りノイジーなトラックが良く、同じくシンシナティを代表するDJ、MR DIBBSがタイトなスクラッチを提供。ヒューマンビートボックスでのフリースタイルっぽい"THE ROCK REHAB"でEPは幕を閉じる。アナログのざらざらしたノイズが臨場感を盛り上げている。

全体に高水準で、MC陣も勿論タイトだが、FAT JONのマッシヴなブレイクと独特のネタ使いに耳を奪われる。特に展開の付け方など、ミュージシャン的というよりヒップホップ以外の何物でもない野蛮な魅力に溢れていて、唸らされる。