LP/EP SWEET TALKIN YOUR BRAIN : THE FIRST FEW INCHES



SWEET TALKIN YOUR BRAIN

Label: TRI-EIGHT/SYNTAX (2002)

Artist: ADEEM

Production: Dj Mf Shalem B, Dj Mayonnaise, Elektro 4, The Ecleclic, Moodswing 9, Scott Matelic, Maker


1. Sweet Talk
2. Broken Right Wing
3. Younger Days
4. Blind Walk
5. Fade Away (a rough draft)
6. Out Of Office Experience
7. Enticing (from a distance)
8. Circulation
9. Maker Mine
10. Forgotten Habit w/Erice Gagne
11. Cycle
12. Random Nonsense
13. Stargazing
多くの優れたフリースタイル・パフォーマー達が、リリックを紙に落とす時点でその魅力を失ってしまうが、SAGE FRANCISがそうであったように、このADEEMもその点では全く問題ないようだ。スクリブル・ジャムで2度のMCバトル・チャンプに輝く天才フリースタイラーADEEM、堂々のオフィシャル・デビュー・アルバム。

彼独特の、ラップと歌の間を行き来する流れるようなデリヴァリーは、冒頭の"SWEET TALK"から全開だ。ゆったりとしたレイドバック・トラック上を無尽に泳ぎ周るADEEM。一転して緊張感溢れる"BROKEN RIGHT WING"ではアグレッシヴなフロウを聴かせていて、引き出しの多さを垣間見せる。時に様々な解釈が成り立つような彼のリリックだが、"YOUNGER DAYS"は明確だ。ここでADEEMは自らの幼少時代についてライム、ノスタルジックに80年代を回想する。MOODSWING9が何とも怪しいトラックを提供した"FADE AWAY (A ROUGH DRAFT)"は、正にマスターピース。オーガニックなサウンド・スケープも言う事ナシだが、主役はやはりADEEMだ。スローなビートに合わせ、時に激しく、時に囁くように、ヴォーカリストとして確実な成長を感じさせてくれる。

DJ MF SHALEM B(ADEEMやSAGEのDJ)、DJ MAYONNAISE、MOODSWING9などを中心に構成されるVINYL MONKEYSは、ADEEMのフレキシブルなデリヴァリーに合わせるかのように音楽的で素晴らしいプロダクションでADEEMをサポート。どれも甲乙付けがたいが、個人的には一曲のみの参加にも拘らずアルバムを最高の形で締めくくるSCOTT MATELICの"STARGAZING"がフェイヴァリットだ。

唯一"CYCLE"がアヴェレージに達していない点を考えても、"SWEET TALKIN YOUR BRAIN"が素晴らしいデビューアルバムである事に変わりはない。特筆すべきプロダクションの数々がでしゃばらずにADEEMの存在感を強固なモノにしているのは、類稀なヴォーカリスト/パフォーマーとしての自身の魅力をふんだんに盛り込む事に成功しているからに他ならない。新たなるマスターピース。




THE FIRST FEW INCHES

Artist: ADEEM

Production: Shalem, Dj Mayonnaise, Alias


- FREEHAND SIDE

- LONGHAND SIDE
1. Intro
2. Remember
3. Blind Walk
4. Pulse
5. Hypocrite
6. Subwhite w/Adverse
7. Dawn Of Change w/Alias

ニューハンプシャーの片田舎出身、ADEEMなる名を持つ無名のMCが一躍”要注意MC”のリストにランク・インしたのには、勿論スクリブル・ジャム98年度MCバトル・チャンプと言う肩書きと共に、この宅禄カセット・アルバムが一役買ったと言える。相棒SHALEMと共に作り上げたこの"THE FIRST FEW INCHES"は、そのタイトル通りスタートでしかないのだが。

まずは"FREEHAND SIDE"は、DJ SHALEMがターンテーブルで刻むオリジナル・ブレイクに乗せて、ADEEMが十八番と言える即興を延々と続けると言う構成なのだが、単純に素晴らしい。それも、ありがちな”パンチラインに次ぐパンチライン”ではなく、コンセプチュアルなテーマを様々なアイデア/デリヴァリーで放出、SHALEMが繰り出す数々の定番ブレイクも、それだけで飽きさせない。後半、ユタのADVERSEとの掛け合いもタイトだ。

さて、"LONGHAND SIDE"だが、こちらはオリジナル録音を収録している。シンプルな"REMEMBER"は、”睡眠は弱さの表れ、だから騒音が俺を寝かさない”といった一節が光るポエテックな一曲。"BLIND WALK"には、DJ MAYONNAISEが混沌としたトラックを提供、ADEEMも負けじとアグレッシヴにライム。疾走するパーカッションがドープな"PULSE"、ホーンが不安を煽る"HYPOCRITE"とダークな曲が続くが、ADVERSEとの"SUB WITE"は一転してユーモラスだ。郊外の白人MCにまつわるコミカルな物語を絶妙のコンビネーションで聴かせてくれる。ホーンがハッピーなムードに拍車をかけていてドープだ。最後は、ALIASが再びダークに締めくくる。サイケ・ロック色の強いALIASのプロダクションは当然のように素晴らしい。

とにかく、"FREEHAND SIDE"におけるフリースタイルが圧巻。その躍動感を"LONGHAND SIDE"でのレコーディング音源に収める事はまだ出来ていないが、練られたプロダクション、コンセプト、そして何より当代随一のデリヴァリーが堪能できる。